出葉の調色版@ラクイラ愛好会

出葉(てには)が震災のことや防災のことについていろいろ書くだけのブログ。震災記事書き起こし: http://te2ha.blog.jp/

白い鳥(宮沢賢治の詩)

《みんなサラーブレッドだ あゝいふ馬 誰行っても押へるにいがべが》 《よっぽどなれたひとでないと》古風なくらかけやまのしたおきなぐさの冠毛がそよぎ鮮かな青い樺の木のしたに何匹かあつまる茶いろの馬じつにすてきに光ってゐる (日本繪巻のそらの群青…

風林(宮沢賢治の詩)

(かしはのなかには烏の巣がない あんまりがさがさ鳴るためだここは艸があんまり粗あらくとほいそらから空気をすひあもいきり倒れるにてきしないそこに水いろによこたはり一列生徒らがやすんでいる (かげはよると亞鉛とから合成される)それをうしろにわた…

松の針(宮沢賢治の詩)

さっきのみぞれをとってきた あのきれいな松のえだだよおお おまへはまるでとびつくやうにそのみどりの葉にあつい頬をあてるそんな植物性の青い針のなかにはげしく頬を刺させることはむさぼるやうにさへすることはどんなにわたくしたちをおどろかすことかそ…

無声慟哭(宮沢賢治の詩)

こんなにみんなにみまもられながらおまへはまだここでくるしまなければならないかああ巨きな信のちからからことさらにはなれまた純粋やちいさな徳性のかずをうしなひわたくしが青ぐらい修羅をあるいてゐるときおまへはじぶんにさだめられたみちをひとりさび…

永訣の朝(宮沢賢治の詩)

けふのうちにとほくへいってしまふわたくしのいもうとよみぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ(あめゆじゅとてちてけんじゃ)うすあかくいっさう陰惨な雲からみぞれはびちょびちょふってくる(あめゆじゅとてちてけんじゃ)青い蓴菜のもやうのついたこ…